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12 1月, 2012

KANSAI6 大阪展 | つながる建築・ひらかれる言葉

昨年(2011年4月)にオープンした大阪の中之島デザインミュージアムにて開催されている、『KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA ONOMATOPEIA つながる建築・ひらかれる言葉』展へ行ってきました。


「KANSAI 6大阪展―つながる建築・ひらかれる言葉」は、「オノマトペの建築」と「S=1:10―建築家建売住宅展示場」との2部構成での展示企画。「オノマトペの建築」では、 擬音語と擬態語の総称である「擬声語」を意味するオノマトペを軸に、6人の建築家がそれぞれ一つのオノマトペを選択し、自分の建築設計に対する姿勢や考え方を表現しています。



_ 遠藤秀平 SHUHEI ENDO / GURU GURU


〈KANSAI 6〉は、関西を拠点として活動している建築家6人が、アジアの時代を迎えて〈アジアの建築〉について真摯に考え、その議論の場を広げるために結成されたグループです。メンバーの建築家は、遠藤秀平、李暎一、宮本佳明、長坂大、竹山聖、米田明の6人。



_ 李暎一 YOUNG IL LEE / MAZE MAZE



_ 宮本佳明 KATSUHIRO MIYAMOTO / GUI GUI


今回の展示は、文化・歴史・伝統などに対する考え方とアジアの現代建築との関連性について、グローバリズムの蔓延による建築のアイデンティティの回復を議論し、モダニズムに関する思考を作品を通じて展開します。




_ 長坂大 DAI NAGASAKA / ZIWA ZIWA



_ 竹山聖 KIYOSHI SEY TAKEYAMA / ZIG ZAG

『オノマトペの原義はギリシャ語で「名前を創る」こと。言葉ではとらえきれぬもの、行為、音、形姿などをあえて言葉で表現しようとする。建築という行為をあえて言葉で表そう。/オノマトペという仮設的な方法に、空間を構成する身体を仮託し、ありうべき世界を表象する。』_竹山聖さんの『オノマトペ試論』より一部抜粋。



_ 米田明 AKIRA YONEDA / GUN GUN




「NT2 PROJECT」の第一弾は展覧会期中に実際に建設されるという、現在進行形で展開される計画です。「オノマトペの建築」で提示された概念を6人それぞれが実際の建売住宅に展開し、縮尺10分の1の模型で紹介しています。



_ S=1:10―建築家建売住宅展示場


「建売住宅」は、一般的に土地と建物をセットで販売する新建築分譲住宅ですが、おおむ ねデベロッパー業者の企画によって建てられます。



_ S=1:10―建築家建売住宅展示場


<KANSAI 6>は、建売住宅のイメージを変えるために「場所の固有性を活かすこと」「創造的生活空間」「個性的な街並づくり」にチャレンジし、作品と商品の接点が求 めて野村工務店が開発する大阪寝屋川市の住宅地において6人の建築家が具体的な生活シーンを提案し、それに相応しい実際の住み手を探すために、それぞれの 住宅を展示販売します。


_ S=1:10―建築家建売住宅展示場


展覧会と同時に『建築を考える1ヶ月』をテーマとして、RELAY TALKと倉方塾と題したトークやセミナーが行われました。

RELAY TALKには、〈KANSAI 6〉メンバーがホストになり、それぞれのゲストを迎えて行なうリレートークです。ゲストには鷲田清一(哲学者、大谷大学教授)、藤浩志(美術作家)、隋建国(アーティスト)、中村桂子(生命誌研究者、JT生命誌研究館館長、江渡浩一郎(メディア・アーティスト)、三木健(グラフィックデザイナー)が様々な視点でそれぞれの建築家とお話をします。


_ RELAY TALK 6 : 話す建築 三木健 x 竹山聖






_ リレートークのポスター DESIGNED BY KEN MIKI



_ 三木健さんデザインの事務所のカード


今回の展示のグラフィックデザインは、三木健さんが手がけられました。そして、アート/デザインユニットであるsoftpad(プログラミング:真下武久氏)の協力によりオノマトペのコンセプトをイメージ化したインタラクティブ映像が階段ホールに展示されています。


_ DESIGNED BY 三木健
谷崎潤一郎の陰影礼賛の黒に黒に対しての、白に白。




_ インタラクティブ映像 BY softpad


倉方塾では建築史家・倉方俊輔が塾長になり、週替わりでゲストを迎えて「建築家 が社会にもっとできること」をテーマに公開セミナーを行なわれました。ゲストには若手建築家の前田茂樹(建築家)、長坂常(建築家)、須部恭浩(建築家) そしてリサーチグループのRAD[川勝真一+榊原充大]が各々の活動やプロジェクトを紹介しながら建築と社会について聞き手も一緒に皆で話し合いました。

中でも、京都を拠点に展覧会やレクチャー、イベントの企画運営を行う20代のリサーチグループRADの客席には、彼らの活動に関心を持った60代の建築家 やデザイナー、評論家など、世代を超えた議論が飛びかう活気のあるセミナーになり話題を呼びました。世界を視野に新しい思想や手法を取り入れ、答えを選ばない(編集をしない)リサーチ活動は、固執した考えを持った人たちには理解されにくいですが、これから社会を引っ張っていく新しい世代である彼らの活動から明るい未来が垣間見ることが出来ました。 (取材・八木夕菜)

[ 概要 ]


KANSAI 6 EXHIBITION IN OSAKA ONOMATOPOEIA
つながる建築・ひらかれる言葉
EXHIBITION1 オノマトペの建築
EXHIBITION2 S=1:10―建築家建売住宅展示場

会期:
2011年11月26日(土)~ 2012年2月14日(火)
開館時間:
12:00~19:00/月曜休館
観覧料:
¥500(中学生以下無料)
会 場:
中之島デザインミュージアム


[ 建築家 ]

遠藤秀平 SHUHEI ENDO
李暎一 YOUNG IL LEE
宮本佳明 KATSUHIRO MIYAMOTO
長坂大 DAI NAGASAKA
竹山聖 KIYOSHI SEY TAKEYAMA
米田明 AKIRA YONEDA


*現在好評開催中の展覧会「KANSAI 6 大阪展」が会期を延長し、年明けからもご覧いただけることになりました。
開催期間は、2012年1月7日(土)~2月14日(火)。展示内容は前期後期とも同じです。チャンスを逃した方は、この機会に是非足を運んでみて下さい。

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