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16 1月, 2016

「フォスター+パートナーズ展 都市と建築のイノベーション」レポート

六本木ヒルズの森美術館・東京シティビュー内スカイギャラリーで開催されている「フォスター+パートナーズ展 都市と建築のイノベーション」プレス内覧会に行って来ました。
Exhibition in Roppongi, Tokyo [Foster + Partners ARCHITECTURE, URBANISM, INNOVATION]

 フォスター+パートナーズは、イギリス人建築家ノーマン・フォスターによって1967年に設立。約1,500人の従業員を抱え、世界45カ国で300のプロジェクトを遂行している世界最大規模の組織設計事務所。
本展は、2009年から北米、南米、アジアなどをまわった巡回展を森美術館独自の視点で再構成したもの。代表するおよそ50のプロジェクトを模型、映像、家具、スケッチなど膨大な資料を通して、その半世紀に及ぶ設計活動を総合的に紹介する日本で初めての大規模展覧会である。

 プレスツアーには、フォスター+アンドパートナーズのパートナー、トニー・三木氏(中)、パートナー兼ヘッドオブコミュニケーションズのケイティ・ハリス氏(右)がアテンドした。
「Bloombergのロンドン本社ビルや、アップル新社屋など、今後完成するプロジェクトは特に見て頂きたいものです。最新情報としてはアフリカ・ルワンダにできるドローン専用空港(陸路では物資を得られない地域にドローンによって届けるためのハブ)が近い将来完成しますので、私たちの人道的な建築プロジェクトとして楽しみにしていてください」

 52階スカイギャラリー。眼下に広がる東京の絶景を背景に展示物が並ぶ。
まずアトリウムには世界的に知られるフォスター+アンドパートナーズを象徴する作品が並ぶ。香港上海銀行本店、ドイツ連邦議会新議事堂 ライヒスターク、大英博物館 グレートコート、ミヨー橋、北京空港。

 代表作品の年表「TIMELINE OF COMPLETED PROJECTS」プロジェクトの種類によって色分けされ、日本には6つのプロジェクトがある。

 プロジェクト数が断トツで多いのはやはりイギリス。


 本展は3つのセクションで構成されている。
■セクション1は「フォスター+パートナーズを支える建築思想」。
工学者・思想家リチャード・バックミンスター・フラーとフォスター氏との12年間に及ぶ交流を軸とし、共同プロジェクトや初期の作品が展示されている。フォスター+パートナーズのオフィスでは、今でもその多大な影響を受けたフラーの思想とスピリットが受け継がれているという。

 〈オートノマス・ハウス〉左、〈ウィリス・フェイバー・デュマス本社〉1975 右。その奥に〈セインズベリー視覚芸術センター〉1978。
フォスター+パートナーズ作品の中で最も人気のある建物。


 〈スタンステッド空港〉1991 手前、〈香港上海銀行〉1986 左奥、
〈ルノー配送センター〉1982 右奥。


 〈ドイツ連邦議会新議事堂、ライヒスターク〉1999。
戦争で失われたドームをガラスで再生した東西ベルリンの統一の象徴。大屋根を付けたコンペ案の模型もある。
かつて戦争でイギリスを攻撃した国の国会議事堂のリニューアルを、イギリスの建築家が担当するというヨーロッパの懐の深さを感じさせる。



 〈大英博物館、グレート・コート〉2000。


 ■セクション2「空間から環境へーフォスター+パートナーズのデザインプロセス」
エコロジー、サステイナブル、歴史、伝統、地域、国家といった各国が抱える課題に、最先端の技術で応えてきたフォスター+パートナーズの膨大なプロジェクトの中から厳選したものを展示。





 「スイス・リ本社ビル(中央)を筆頭に、"どうしてこういう形なの?” という質問を日常的に受けます。形状については10も20も理由があります。私たちが手掛けるプロジェクトには様々なスペシャリストが関わり一緒に仕事をしていますので、そのプロセスにおいて建物が発展し出来たかたちなのです。」とトニー・三木氏。


 夜になると東京の夜景を背景に、高層ビルの模型が立ち並ぶ様子が見られる。


 その国を代表する国際空港を手掛けられる設計事務所は限られてくる。
手前から〈クィーン・アリア国際空港〉2012、〈北京首都国際空港〉2008、〈メキシコシティ空港〉2014-。

 3Dプリンターを使った模型の数々。


 ■セクション3「都市と建築のイノベーション―未来のライフスタイルを発想する」


 〈西九龍文化地区〉2009 コンペ模型。


 〈ブルームバーグ ロンドン〉2015-、〈スラッセン マスタープラン〉2008 右奥、〈バタシー発電所 スカイライン〉2014- 中奥。


「伝統と未来」、「人間と環境」といった普遍的なテーマを追求し、革新的なアイデアで建築や都市をデザインしている。

 フォスター+パートナーズのフィールドは、もはや地球だけではない。ここでは近年彼らが目を向けている月や火星関連の研究が展示されている。手前は3Dプリンターでつくる生命のような構造体をもつ月面住居。

今話題のアップル新社屋〈アップル・キャンパス2〉はこの右壁面に展示されている。
敷地は700,000m2(六本木ヒルズの約6倍!)あり、敷地の70%以上が緑化、オフィスや駐車場ビルなどの屋根全体にソーラーパネルが設置され、「ソーラーパネルが設置された世界最大の事業所」になるという、サステイナブル建築に12,000人従業員が働く計画だ
※アップル関連プロジェクトは撮影禁止のため会場でご覧下さい。

 世界最大規模のフォスター+パートナーズオフィスと仕事風景。


 ノーマン・フォスターと愛用のモールトン社製の自転車。フォスターの趣味は自転車の他にも飛行機操縦、クロスカントリースキー等がある。
下のケースには〈テクノ・ノモス・テーブル〉1986 の各種パーツ

 ノモス・テーブルのパーツはラウンジカフェのディスプレーにも。同時期の香港上海銀行に通ずるデザインだ。


 〈ラウンジコーナー〉
映像、関連書籍あり。フォスター+パートナーズがデザインした家具で寛ぐことができる。毎週金曜日の19時からは映画「フォスター卿の建築術」も上映されている。


【フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション】
会期: 2016年1月1日~2月14日
会場: 六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー
   (六本木ヒルズ森タワー52階)
詳細: www.mori.art.museum/contents/foster_partners/index.html



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