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17 3月, 2017

円錐会「初出展01」、横浜国立大学「卒業設計展」、「都市イノベーション学府展」レポート

3月17日~19日まで横浜のBankART Studio NYKで開催の「初出展01」、横浜国立大学「卒業設計展」、「都市イノベーション学府展 – 横浜大改造計画」に行ってきました。
学部、大学院、プロの3ステージの建築模型を同時に見られる機会だ。

 「初出展01」とは、円錐会(横浜国大建築学教室およびY-GSAに関わる設計・意匠系出身者を中心としたOB会)30組による初めて発表されるプロジェクトのみによる建築模型展。


 未発表作品の模型を見ながら皆で批評や議論することで、そのプロジェクトのみならず建築や、都市を考えるきっかけとする。或いは進行中のプロジェクトを第三者から客観的な意見や感想をもらい、新しい思考を誘発する場でもある。

 会場構成を担当したのは松井さやか(松井さやか建築設計事務所/Y-GSA設計助手)による。
広く天井も高い空間に力強い柱、そして一方向から差し込む自然光といったこの空間に逆らわず、空間に溶け込むように浮遊する模型が現れるようにした。透明な素材で一方から入る光によって会場に影が出ないような配慮。

 展示台はポリカの波板をうねらせながら、ワイヤーで固定しただけの簡易なものだが。時間によって異なる光の色を映し込みながらオーロラのように反射している。


 展示作品は入口近くが1番で、卒業・修了年順に並んでおり、建築家の年代によって表現がどのように異なるか見て取ることができるだろうか。会場ではハンドアウトを見ながら閲覧できる。


 一角にプロジェクターがスタンバイしており、最終日3月19日17:30から出展者によるプレゼンとシンポジウムが開催。特別コメンテーターに野沢正光と宮晶子が招かれ、熱い議論が繰り広げられる予定だ。
出展者:IVolli architecture(永田賢一郎・原﨑寛明・北林さなえ)
    芦沢啓治
    石川卓磨
    伊藤暁
    乾彰宏
    垣内崇佳
    Studio YY(田中裕一・中本剛志)
    Soi(大和田栄一郎・井上湖奈美)
    髙橋一平
    ツバメアーキテクツ(山道拓人・千葉元生・西川日満里・石榑督和)
    tomito architecture(伊藤孝仁・冨永美保)
    TORAFU ARCHITECTS(鈴野浩一、禿真哉)
    遠山之寛
    中永勇司
    中川エリカ
    中原潤平(積水ハウス)
    野口直人
    西田司
    PERSIMMON HILLS architects(柿木佑介・廣岡周平)
    藤原徹平
    久山幸成(クライン ダイサム アーキテクツ)
    ビルディングランドスケープ(山代悟・西澤高男)
    KEIKO+MANABU(内山敬子・沢瀬学)
    保坂猛
    堀直樹+安田朋子建築設計事務所
    矢野建築設計事務所(矢野雄司・矢野泰司)
    山縣武史
    山路哲生
    吉村寿博
    403architecture [dajiba](彌田徹・辻琢磨・橋本健史)



フロアのもう半分は横浜国立大学建築EP卒業設計展「nomadic exhibition」が同時開催だ。


「ノマディック」と銘打たれているが、横浜の街にある5会場を19作品が遊牧民のように、ローテーションで会場を移動しながら展示するからだそうだ。写真が作品を “遊牧” させる為の箱で街ゆく人に展覧会をアピールしながら、建築模型と街を繋ぎながら横浜の魅力を再発見してもらう試み。



 上階で開催の「横浜国立大学 都市イノベーション学府展 – 横浜大改造計画」

都市イノベーション学府とはY-GSAなど6コースを含む横国大学院研究科目のひとつ。文理を横断したコース全体が同じテーマで参加する展示ということだ。

 そのうちの「Y-GSA展」
4スタジオ毎に展示されており、雰囲気のみお伝えする。



 ご存じY-GSA教員ラインナップ。


 Y-GSAスタジオ発表会。


 片隅に "KOJIMA WORDS” なるボードが。「小嶋一浩 小さな矢印の群れ 小嶋さんから頂いた最も印象的な一言を書いて下さい」とある。昨年10月に急逝した小嶋一浩氏の印象的な言葉が貼られている。


 「あなたの好きなようにやっていいよ:安原幹」、「これ建つの?:藤本壮介」や、、、


 「人の発表聞かないやつ、単位没収!:田井幹夫」、「まあ、大学でできる事も割とあるよ:平田晃久」、、、



【初出展01】

【都市イノベーション学府展 – 横浜大改造計画】


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14 3月, 2017

浅利幸男 + 長崎剛志による集合住宅「神楽坂薫木荘」

浅利幸男(ラブアーキテクチャー)が手掛けた集合住宅「神楽坂薫木荘(Kagurazaka Kunbokuso)」を内覧してきました。東西線 神楽坂駅から数分の場所。

 建築面積66m2、延床面積 177m2、木造地上3階建て。全6住戸の長屋。
奥まった旗竿敷地。27mほどある竿部分が魅力的なアプローチとなるよう庭園美術家である長崎剛志(N-tree)とコラボレーションした。

 アプローチはカタログにないようなオリジナルの庭をという要望があった。有機的にデザインした小道には様々な石が使用され、手前は丸みのある自然のままの石、奥に行くにつれて堅い印象の諏訪鉄平石、そして住戸の前では深岩石を整列させアプローチに変化を持たせた。
両脇に植えられた植物はすべて常緑樹で、南天、ツゲ、サカキ、ヒサカキなど十数種類が選ばれている。


住戸前に設置された「木」も長崎剛志によるオブジェだ。製材された木をフェイクとしてもう一度生木に戻すというコンセプトで、角材の表面に杉皮を貼っている。施主である木材会社(大和木材)のプロジェクトであるというシンボルであり、そして同じ杉を使っている建築と庭を緩やかにつなぐものであり、このオブジェを通して全体がひとつのストーリーになる。
また隣地の塀が気にならないよう視線を逸らす効果も狙った。

 住戸は1・2階もしくは、1・3階を利用したメゾゾネットが交互に並んでいる。
ファサードは薄めの焼杉。施主の製品である木材をふんだんに使った建物で、木の構造も見せたいところだが、準耐火が求められるので構造は現しに出来ない、或いは燃えしろ設計が必要ということである工夫を施した、、、

 2号室と4号室(写真は4号室)のエントランスに見える階段がそれで、かなり太い桁板が構造部も兼ねる燃えしろ設計による無垢材の階段だ。ほか居室に現した無垢材の柱は構造でありながら、構造計算には含まれないようにした。


木材会社の物件に相応しい力強い階段となった。ちなみに6段目と8段目の踏み板が下足置きとして使えるように奥に延びている。

「賃貸だからこのくらいでいいでしょう」とはしたくなったという浅利さん。賃貸は住み手が不特定だが、これまで手掛けた集合住宅は「浅利幸男物件」として愛着を持ってとても丁寧に使ってくれている方も少なくないそうだ。そういった意識の高い借り手をリスペクトし、仮想クライアントとしてイメージしながら、たとえ少ない要素であっても、建具、家具、手摺一つ一つに丁寧にデザインの要素を効果的に落とし込んだ。

例えば、、、
 ツートンに塗り分けた水回り。ミラーキャビネットではなく、円いシンプルな鏡を一枚取り付けた。


3階へ上がる途中、簾戸のような下足入れや、

オブジェのような手摺。上から差し込む光の中、階段室を単なる通路としてだけでないように考えた。

 通路を抜け、居室に上がると、光に包まれたモノトーンの空間。下階とは異なり両面への抜ける開放感など空間に強弱をつけた。


 「飽和状態の賃貸物件で面積や設備などのスペック、家賃で差を付けるのは難しい。文章や数字では説明できない部分、つまり住み手が生活シーンをイメージ出きて、印象に残るような効果的なムード作りが重要だと思う。」と浅利さん



 近隣が迫っているが、塀などで隠すのではなく、印象的な庭をつくることでそれらの気配を極力減らすことが出来た。



右から長崎剛志さん、浅利幸男さん、担当の石毛正弘さん。
浅利さんと長崎さんは20代の独立したての頃からの知り合いで、今回初めて協働が叶った。現在複数の協働プロジェクトが進行中だという。

神楽坂薫木荘公式サイト(Webデザイナーとチームを組んで相応しいイメージを作った)
http://kagurazakakunbokusou.com

【神楽坂薫木荘】
設計監理:浅利幸男、石毛正弘(ラブアーキテクチャー一級建築士事務所
造園:長崎剛志(N-tree)
施工:株式会社八幡
プロデュース:座光寺商店株式会社

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02 3月, 2017

2017年プリツカー建築賞はスペインのRCRアーキテクツの3氏


プリツカー建築賞日本広報事務局よりオフィシャルリリースより。
(今年の授賞式は2017年5月20日、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で執り行なわれます)

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2017年プリツカー建築賞 受賞者発表
ラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3氏が受賞

~景観と建築の一体化を実現し、場所・時間と密接につながった建物を創造~


Photo by Javier Lorenzo Domínguez

建築界において最も栄誉ある賞として世界的に知られる「プリツカー建築賞」を主催するハイアット財団のトム・プリツカー会長は、2017年のプリツカー建築賞を、ラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3氏に授与すると 発表しました。



スペイン・カタルーニャ地方オロット出身の建築家3氏は1988年、故郷に建築設計事務所「RCRアーキテクツ」を設立して以来、共同制作によって作品を生み出してきました。3氏の作品は、それぞれが持つ背景と語り合うような空間を創造するべく、建物 の場所および場所の持つ物語に対して徹底的なこだわりを見せています。建物外部と内部のつながりを追及するべく、アランダ、ピジェム、ヴィラルタの3氏は実体性と透明性の調和をこころみ、それが3氏の建築を情緒的かつ経験的なものにしています 。
プリツカー氏は次のように述べています。「審査団は、30年近くにわたって共同制作により作品を生み出してきた3人の建築家を選びました。アランダ、ピジェム、ヴィラルタの3氏は、共に活動することでそれぞれの領域をはるかに超えた作品を世に 送り出してきました。3氏の作品は、公的な空間や私的な空間から文化施設や教育機関まで幅広く、それぞれの施設特有の環境条件とその土地の固有性を強く関連付ける彼らの作品は、3氏の手法が真に溶け合った証しと言えます」
3人の建築家が同時受賞するのは賞の創設以来、今回のアランダ、ピジェム、ヴィラルタの3氏が初めてです。3人がそれぞれに公平な責任と役割をもって創作活動に貢献したことを称え、賞も各個人に与えられることになりました。プリツカー建築賞 は今年で39回目を数え、スペイン出身の受賞者は1996年のラファエル・モネーオ氏以来、2回目となります。2017年の受賞者に選ばれたことについて、ピジェム氏は次のように述べています。「大変な喜びとともに、大きな責任を感じています。あらゆるプロジ ェクトにおいて共に活動してきた私たちが、このたび3人のプロフェッショナルとして認められ、感激しています」
地域に根差して活動する3氏は、リサイクルされた鉄やプラスチックなどの現代的な素材を創造的かつ幅広く利用することによって、普遍的な独自性を発揮しています。グレン・マーカット審査団長は次のように述べています。「素材の融合によっ て確かな力強さと明解さを建物に与えられるということを、3氏は証明しました。この3人の建築家による共同制作は、詩的なレベルに達する妥協のない建築を生み出しています。過去に対して大きな敬意を払う一方、現在と未来の明確さを映し出す、時 代を超越した仕事であることを示しています」。3氏のオフィス、Barberí Laboratory(バルベリ・ラボラトリー、2007年)が、20世紀初頭の鋳造所を改造したものであることは象徴的です。この建物の多くの部分は原形の面影を保ったまま、必要な部分にだけ対照的かつ新しい要素がブレンドされています。
代表的なプロジェクトに、ラ・キュイジーヌ芸術センター(フランス・ネーグルペリス、2014年)、G.トレグエット氏と共作のスーラージュ美術館(フランス・ロデズ、2014年)、J.プイグコルベ氏と共作のラ・リラ劇場の公開空地(スペイン・ジローナ・ リポイ、2011年)、レス・コルズ・レストランのマーキー(ひさし)(スペイン・ジローナ・オロット、2011年)、J.プイグコルベ氏と共作のペティ・コンテ幼稚園(スペイン・ジローナ・パラモス、2010年)、ベルロック・ワイナリー(スペイン・ジローナ・ パラモス、2007年)、サン・アントニ - ジョアン・オリバー図書館、高齢者センターおよびカンディーダ・ペレス庭園(スペイン・バルセロナ、2007年)、トソル-バジル競技場(スペイン・ジローナ・オロット、2000年)があります。
2017年プリツカー賞審査団の講評の要旨は次の通りです。「我々は、国際的な影響や貿易、議論、取引などに頼らざるを得ないグローバル化された世界に住んでいる。しかし、こうしたグローバリゼーションによって、地域固有の価値観や芸術、ある いは独自の習慣が失われてしまうのではないかと懸念する人々がますます多くなっている。ラファエル・アランダ、カルメ・ピジェム、ラモン・ヴィラルタの3氏は、それらの両立が可能かもしれないということを我々に気づかせてくれた。この命題の 答えは『二者択一』ではなく、少なくとも建築においては両方を望むことができるということを、最も美しく詩的な方法によって示してくれている。両方とはつまり、場所にしっかりと根差した我々のルーツと、未知の世界に向けて伸ばす我々の腕のこ とである」
2013年、アランダ、ピジェム、ヴィラルタの3氏は社会を通じて建築、景観、芸術、文化をサポートしようと、RCR BUNKA財団を設立しました。3氏は1989年より、ガローチャ火山地域自然公園の顧問建築家を務めています。多くの作品は、スペイン・カタルーニャ地方とヨーロッパ全域で見られます。3氏は今もオロットを拠点にしています。
今年のプリツカー建築賞の授賞式は2017年5月20日に、東京都港区の迎賓館赤坂離宮で執り行なわれます。

【プリツカー建築賞について】
プリツカー建築賞は1979年、故ジェイ・A・プリツカーとシンディ夫人によって創設されました。建築を通じて、人と建築環境に常に著しく寄与し続ける才能、ビジョン、貢献を称えて活躍中の建築家に毎年贈られます。

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RCRアーキテクチャー



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01 3月, 2017

彦根明による鎌倉の住宅「SKH」

彦根明(彦根建築設計事務所)が手掛けた鎌倉の住宅「SKH」を見学してきました。

 敷地面積239m2、建築面積100m2、延床面積155m2。木造2階建て。
軒を出した切妻のボリュームと、二層の寄せ棟のボリュームが、庭を囲むように L字型の平面を形成している。

 セットバックを求められた敷地に、緩やかなスロープを持つ大谷石のアプローチと、それに平行して前庭を設けた。鎌倉の雰囲気に合う街路作りを促すような効果もあるだろう。植栽は前回の記事(永山祐子「西麻布の住宅」)同様、荻野寿也が手掛けた。


 玄関を入ると正面に組子の開口。


 半フィックスで引戸ではないのでシェードと言えるだろうか。


 玄関から左は和室。押し入れには唐紙が貼られている。
廊下はシューズクローゼット、トイレ、書斎と続く。


 LDKは二層吹き抜け。2階の壁に見えるのはキャットウォーク。奥のリビング天井にはこの後プロジェクターが取り付けられる。床はチーク。


 キッチンからの眺め。ダイニング越しに中庭やハイサイドライトから空も眺められる。キャットウォークは鴨居の上にも通してあり、2階の居室間を行き来できる。ペンダントライトはヤマギワの "まゆはな”。



 不整形敷地のため、三角形の余剰スペースが生まれるので裏庭として活用し、様々な開口から緑が覗くようにした。


 水回り。洗面には北西の柔らかな光が手元に導かれる。


 浴室はヒバと十和田石で仕上げた。もう一つできた三角形のスペースにも坪庭を設けた。


 中庭ももちろん荻野さんが手掛けた。縁側と縁側を延長したデッキテラスで思い切り庭を活用していく。手前には蹲(つくばい)と筧(かけひ)も配され庭の表情を豊かにしてくれる。


 テラスを囲むようにアオダモやカエデなどの落葉樹を植え、冬は明るく夏は日陰をつくる。低木には常緑樹や季節毎に花を咲かせる植物が植わる。




 室内に戻り2階へ。開口の向こうは子供室。


 2階へ上がるとスタディスペースが現れる。水回り同様北西の間接光が勉強にはもってこいだ。



反対側は主寝室へ。右手ハイサイドライトから視線は遠くまで抜ける。


 鎌倉特有の小山は四季を通じて表情が変わる。これを借景にしない手はないだろう。


 主寝室。右手はウォークインクローゼット。左下に猫穴が見える。


 この後引越を終え、猫はキャットウォークを気に入って使っているそうで、彦根さんもほっと一安心したとか。



彦根明さん。「お施主さんからは鎌倉らしい住宅を求められました。敷地が広めであったことから中庭を持たせることを前提としながら計画していきました。そして軒や縁側によってらしさと、内と外が繋がり鎌倉の空気を存分に取り込むことが出来ます。」

【SKH】
建築設計:彦根明、内田航平
施工:中川工務店
植栽:荻野寿也

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