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25 5月, 2018

「平田晃久展 Discovering New」レポート/ギャラリー・間

5月24日からTOTOギャラリー・間で開催の「平田晃久展 Discovering New」のプレス内覧会に行ってきました。


展覧会概要:私たちの建築は、建築やその背後にある人間の営みを、広義の生命活動として捉え直すところから始まる。そのとき、公共建築すら、多様な人びとを異なる「生物種」と読み替えたある種の「生態系」となるだろう。
そのためには、手がかりとなる何らかの考え方、生命の営みと建築をつなぐ、新しいラインを見つけなければならない。この展覧会では、そのような思考のラインとその交錯を、模型を含むさまざまな事物の立体的配列で体験的、博物学的に示す。
新しいことは、生命の本質にある何かである。生きていることとは、変化し続けることだからだ。生命力は、常に更新されるものにこそ、宿るだろう。
とはいえ、ここでいう新しさとは、過去と断絶した完全な見知らなさ、ではない。むしろ、既にそこにあるが、未だ隠されたものを、顕在化させる何かだ。だから私たちは、何もないところから創造したり、発明するというよりは、何かを発見=discoverすることを通して建築をつくりたいと思うのだ。


会場に入るとまず驚かされる。
無数のパイプが縦横に構築され、その間に建築模型が埋め込まれるように設置されている。


それは一見無秩序かつ、思いつきと感覚で構成された "インスタレーション" のように見える。
この展示は一体どのように見ていけば良いのか、たまらず平田さんや、担当者に尋ねるとこうだ。


会場には「Discovering New Form」、「Discovering New Nature」、「Discovering New Commitment」という3本の仮想軸がある。


その3本の仮想軸に、それぞれ4つずつの概念キーワードが仮想面として付随している。
1= 側、ひだ、ライン、階層
2= 生の度合、動物的、創発的、発酵・浸食
3= 汎ローカリティー、土、他者、履歴
これらの、面と面がからまったところに造形が生まれているということだ。


平田さんが直筆で壁面に記した、上記の12の概念キーワードと実作を線で結んだダイアグラム、軸と面を解説した図。


そして左右の壁面に12のキーワードが色分けされながら説明されている。
「生物学者にもなりたかった」という平田さんならではのキーワードとその解説。


構成される仮想面には、よく見るとキーワードのプレートが付いているので、、


プレートの延長にある面を想像する。


これらを踏まえてもう一度パイプのからまりを眺めると少しずつ面が見えてくるが、写真でそれを伝えるのは非常に難しい。
3階展示室は作品を時系列で見るのではなく、作品同士の関係性を概念キーワードの中で見ることができる「抽象と思考」の世界なのだ。


例えば近作である〈Tree-ness House〉は「ひだ」「階層」「発酵・浸食」の面がからまる辺りに分布している。


時折、概念の中に入って見ることもできる。
同じ作品でも検討段階と、最終型では異なる交点に存在していることがある。


概念と模型はそのまま中庭まで連続する。


設営中は雨が降らなかったが、模型に防雨したところでちょうど雨が降ったこの日。


数時間後、ゲストを招いた内覧会ではこの中庭でレセプションを行ったが、その時になると雨はぴたりと止み、終わるとまた降り始めるという奇跡を起こした平田さん。


見上げると雲のように浮く模型たち。下から見えるように逆さまに設置されている。


4階は「現実と体験」の世界。
〈Timber Form+〉なるオブジェは、長さは6.1m、直径2.1mの構造体。


原型となったのは2011年台湾のコンペで次点となった〈Foam Form〉。数10〜数100m規模の建築であるが、、


それを縮小したようなかたちで、平田さんの概念を現実化した "建築" に入って空間を実体験できる。
木の3次曲面NC加工ができるシェルター社の協力によって製作。アカマツの集成材を72のパーツに分け切削し、組み立てた後繋ぎ目を滑らかに仕上げた。


周囲や中に数台のタブレットが浮かんでおり、様々な画像が見られる。例えば写真家 阿野太一が〈太田市美術館・図書館〉をプライベートで撮った写真や、、、


本展設営の様子なども。


4階奥には、写真家 市川靖史が撮影した〈太田市美術館・図書館〉と、〈Tree-ness House〉の動画が壁一面に映し出され、その空間に入り込んだような体験ができる。


平田晃久さん。「この展覧会は今まで考えてきたことの相対です。考えてきたこと『からまりしろ』を初めて整理し可視化してみようと思いました。すると複数の概念がからまったところに作品が生まれていることが見えてきて、それぞれの作品の関係性も見えてきました。とても複雑なものに見えるかもしれませんので、じっくり見て頂くのもいいですし、『こんなものもあるんだな 』とさらっと見て頂いても良いと思います(笑)。」
「今、どこまでいったら建築ではなくなるのか、どこまで他者を受け入れたら自分ではなくなるのか、そんなことにとても興味があります。建築のあり方は固定されているものではなく、これがなくてはできない、これがあってはいけないということもなく、これからはもっと、あらゆる分野・あらゆる階層の人が多様に関わってつくられていくものになるのではと思います。そんな中で建築家がどのように関わっていくことが出来るのか、ほとんど建築とは言えないものが生まれるのではないか、そんなことにチャレンジしていきたいです。」


〈Akihisa HIRATA Discovering New〉展覧会に合わせてTOTO出版から刊行された平田さん待望の作品集。内容は展覧会とリンクしており、それぞれの作品がどのような概念のからまりから生まれているか詳しく記されている。


A4変形の280ページ。3つの書き下ろしテキスト「Discovering New Form」「Discovering New Nature」「Discovering New Commitment」を収録。これまで建築における新しい「かたち」や「自然」を追求してきた平田さんが、〈太田市美術館・図書館〉で市民とのワークショップを通して新しい「コミットメント」の在り方を提示。
https://jp.toto.com/publishing/detail/A0373.htm

【平田晃久展 Discovering New】
・会期:2018年5月24日~7月15日
・会場:TOTOギャラリー・間(東京都港区南青山1-24-3)
・詳細:https://jp.toto.com/gallerma/ex180524/index.htm


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17 5月, 2018

森ビル×チームラボの「teamLab Borderless」開業前レポート

6月21日開業の、森ビルとチームラボの共同運営によるデジタルアートミュージアム「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless」。その制作中の館内をめぐるプレスツアーに参加してきました。


場所はお台場パレットタウン。観覧車の下で、元々ゲームセンターやボーリング場であった場所をリノベーションしたプロジェクトである。施設面積10,000m2の空間に、世界初公開作品を含む約40作品を展示する。チームラボによる東京初の常設展示であり、フラッグシップ施設となる。

「チームラボ ボーダレス」という名称にも採用された今回のコンセプト=Borderlessという言葉には、「作品と作品」「作品と鑑賞者」「自己と他者」の境界をなくし、鑑賞者も作品の一部となって溶け込んでいくという想いが込められている。森ビルとチームラボが専門領域をかけ合わせタッグを組むことで、2020年とその先に向けて、世界に類の無い新たなデスティネーションとなることを目指す。


プレス受付
工事中のため報道陣もヘルメット着用にて入場。

まず通されたのは流れる滝と色鮮やかな花に埋め尽くされた、新作の空間。


こんもりとした丘をステージ代わりにして挨拶するチームラボの猪子寿之氏。
「3年ほど前にプロジェクトチームをつくりました。作品同士コミュニケーションし、影響を受け合い、時には混ざり合います。そのような作品群による、境界のない1つの世界が『チームラボボーダレス』です。6月開業に向けてブラッシュアップしていきますのでご期待下さい」 


ちなみにこの華やかな作品の施工風景はこちら(シンプル!)

ツアー開始。
あらかじめ渡されていた番号をもとにいくつかのグループに分かれて進む。teamLab Borderlessは5つのゾーンで構成されており、普通の美術館と異なり決められた順路というものはない。

【花の森、埋もれ失いそして生まれる Flower Forest: Lost, Immersed and Reborn】(制作中)
紫陽花やひまわりなど季節の花がひろがる世界。いくつか小部屋があり迷路になっている。




階段で上階へ。


【EN Tea House】
肥前でつくられた新しい茶「EN TEA」が注がれた茶器の中に、花が咲いていく作品を体験できる空間。


お茶のイメージ

本施設の目玉といえるゾーン「チームラボアスレチックス 運動の森」へ。
「身体で世界を捉え、世界を立体的に考える」をコンセプトに掲げ、様々なリサーチと実験に基づき脳の海馬を成長させたり空間認識能力を鍛える新しい創造的運動空間を提供するチームラボ肝いりのプロジェクトである。

【ポヨンポヨン宇宙】
チームラボが開発した特殊な布が張り巡らされた空間。自分がいる場所が沈んだり、近くの人が飛ぶことで跳ね上げられたり、トランポリンのように遊ぶ。

宇宙の星々の一生をテーマにした映像が楽しめる。


【グラフティネイチャー 山々と深い谷】
3mほどの高低差のある斜面で創られた立体的な大空間に、来場者が描いた様々な生きものたちが出現し一緒に戯れることができる。


すり鉢状の起伏は歩いているだけで脳が刺激される気がしてくる。


さらに奥へ


【光の立体ボルダリング】
輝く玉石が空中の3次元上に配置された空間。参加者は固有の色に輝くバッジをつけて、その色に輝くホールドをルートに両手両足を使って進む。人々の位置は検知しているので、ルートはリアルタイムに更新され、互いに交差しないように新しいルートが生まれていく。 


完成イメージ図


【色取る鳥の群れの空中吊り棒渡り】
ロープから吊られた棒が連結され立体的に空中に浮かんでおり、他の棒からの影響を受けながらも落ちないように渡るというもの。実際には鳥の群れが自由に飛び回る映像が映し出される。


【裏返った世界の、つながる!巨大ブロックのまち】


特別公開されたPCルーム
これは使用されているコンピューターのごく一部。館内には520台のコンピューターと470台のプロジェクターが設置されている。 


【ランプの森】
人がランプの近くで立ち止まりしばらくじっとしていると、最も近いランプが強く輝き音色を響かせる。ランプの光は最も近い二つのランプに伝播し、伝播していく光は1 度だけ通る一本の光のラインとなり、最後に起点となった最初のランプで出会うという仕組みになっている。




鑑賞者も作品の一部となって溶け込んでいるボーダレス感。


【untitled 】制作中
身体ごと没入して様々なインタラクティブが起きるBody Immersive作品。今回は緑の棚田が永遠に続いているかのように感じられる演出であったが、秋には黄金色の稲穂になるなど、訪れる季節によって異なる風景を愉しむことができるエリア。


高低差を付けているので、このような棚田の下に潜るような非日常な体験も。


最後には、最初に見たあの花と滝の風景を上から望むことができた。
作品を鑑賞する他者の存在もポジティブに捉えた境界のないアートでできた世界。


現場チェックに来ていた浜田晶則さん(teamLab Architects)。
本施設の作品群の空間設計を担当している。「既存建築物に対する改修なので現場で苦労する部分もたくさんありますが、各作品の垣根を越えたボーダーレスというテーマを空間にも落とし込んでいます。デジタルによって建築の概念を拡張する新しい美術館になると思います」

今回紹介できたのはほんの一部。その他にも公開NGのたくさんの制作中エリア(輝く前のWander through the Crystal Universeにも対面できた!)をノンストップで見てまわり時間にして2時間ほど。実際に体験もするとしたら倍の時間を要するかもしれないが、圧倒的なスケール感と唯一無二のコンテンツで、想像以上のマインドブローイングな1日を過ごせること請け合いだ。


MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless
所在地:東京都江東区青海1-3-8(お台場パレットタウン)
開業日:2018年6月21日(木)
料金:一般/高・大学生3,200円子ども(4歳~中学生)1,000 円
チケット発売:2018年5月下旬より発売予定
運営者:森ビル・チームラボ有限責任事業組合
プロジェクションパートナー:エプソン販売株式会社
URL :http://borderless.teamlab.art/jp


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